機能不全を起こしていた評価制度。半年で改定から運用フェーズに乗せるまで

「既存の場を、おもしろくする」をコンセプトに、古い建物や空間を活かす不動産再生を手がける株式会社LOOPLACE(ループレイス)さま。築古ビル再生のセットアップオフィス「gran+シリーズ」をはじめ、役目を終えた場を壊さず、再び人が集まる空間を創造しています。

一方で、人事面では従業員サーベイを通じて「評価制度が不透明だ」という声が挙がり、基準表はあるものの運用されていない、昇格の判断が人基準になっている、といった課題がありました。かつてコンサルティング会社に導入してもらった制度は、仕組みだけが残り、運用のフェーズが回らないまま歪んでいった経験も。

ツナグtobeでは、各階層へのヒアリングと評価運用の会議への参加を通じて課題を可視化し、人事制度の見直しに加え、新制度の運用伴走とマネジメント研修までを支援。コアバリューの刷新と連動した、LOOPLACEらしい制度づくりを進めてきました。

今回は、人事制度改定を進めた背景と、実際の取り組みの手応えについて、LOOPLACEさまに伺いました。

【課題】
・人事評価制度が機能しておらず、適切な運用ができていなかった
・キャリアビジョンが描きにくい、報酬アップがゆっくり、といった声も

【対策】
 ・各階層へのヒアリングにより制度面・運用面の課題を可視化
 ・「透明性」と「キャリアビジョン」が担保された人事制度を設計
 ・評価者向けマネジメント研修(全4回)と、新制度の運用伴走

【効果】
・幹部メンバーが納得して作り上げた制度として、運用のスタート地点に立った 
・評価者の対話量が増え、初回評価に向けての期待が高まっている

石川 博基 
株式会社ツナグtobe代表。参画型人事コンサルティングを得意としており、企業の人事課題に対して全方位からアプローチできることに強みを持つ。

飯田 泰敬さん 
株式会社LOOPLACE代表取締役。

小松 里絵さん 
株式会社LOOPLACE 人事部。労務管理のほか、採用業務のサポートなどを担う。

評価制度の不透明性が浮き彫りに。ツナグtobeとの出会い

──今回、ツナグtobeにご依頼いただくに至った背景を教えてください。

小松さん:
従業員サーベイを実施したところ、「人事評価制度が不透明」という声が社員から挙がり、それを役員層が課題として認識したことがきっかけですね。

飯田さん:
それぞれの評価項目に対して、一定基準を超えたら昇格、というような基準表はあったのですが、実際には誰もそれを使わず「Aさんと比較して〜」と人を基準とした曖昧な相対評価になってしまっていました。この評価制度は10年前にコンサルを通じて導入したものですが、人が変わっていくなかでただ仕組みだけが残っているという状態でした。

私は、仕組みは入れてからが始まりだと思っています。
誰かが責任者として、運用しながら改善を続けていかなきゃいけない。

とは言え、うちには新たに制度設計ができる人もいないし、基準表を変えるにしても現場の責任者に頼むことになるのでつい後回しになってしまって。そんなとき、共通の知人を通じて石川さんをご紹介いただきました。

石川:
LOOPLACEは当時、10年ビジョンを掲げ、コアバリューを変えられたタイミング。
評価制度を改善するだけではなく、描いている未来を実現するために戦略的に人事を強くすることも大事だと感じていました。

「評価制度が機能しない」というご相談はよくいただきます。ただ、それはあくまで表面的な課題で、奥には本質的な真因があることが多いので、まずはいろんな階層の方にインタビューをさせていただきました。

すると、評価制度そのものも運用面も不透明であること、それゆえにキャリアビジョンが描きにくいこと、そして報酬アップがゆっくりである、という声が挙がりました。

一方で、「この会社で働く人が好き」「この会社の事業が好き」という声も多くあったのが印象的でした。仕組みさえ良くなれば、皆さんの満足度も上がりそうだと感じたので、ぜひご一緒させていただきたいとお伝えしました。

“らしさ”のある評価制度を設計するために

──ツナグtobeでは、具体的にどのような支援を行いましたか?

石川:
大きく三つです。まずは、人事制度の不透明な部分を明確にし、従業員の皆さんに開示することで、わかりやすく納得感のある人事制度を作ること。さらに、会社が期待していることを明示することで、キャリアビジョンを描きやすくすることも意識しました。10年ビジョンに向けて飛躍的に成長していくには、人材要件のレベルを高く置く必要があるので、そこも含めての設計です。

LOOPLACEが掲げるコアバリューの実践がしっかりと評価される、という循環が回ることがポイントなので、行動で測定できる形で言語化をしました。一方で、全部署で使える要件を定義すると抽象度が上がってしまいます。そこで、どの部署でも共通して求めたい行動の粒度で定義し、それを踏まえて各部署の方に自部署で期待する成果を再度言語化いただくプロセスを踏みました。

二つ目は、「頑張れば報われる」を、より一層高い次元へ引き上げること
「会社は好きだけど、将来が見えづらい」と言う声もあったので、等級ごとの給与テーブルを新設し、業績に連動した賞与水準も示すことで、LOOPLACEで働くことのキャリア安全性を高め、安心して活躍できる環境を整えました。会社が期待する成果や行動が伴う人が報われる制度にすることで、LOOPLACEがもともと持つ関係性の良さに加えて、成果・仕事の質にこだわり抜く会社文化を醸成していきたい、という想いです。

三つ目は、運用までしっかりご一緒すること
目標設定・日々のコミュニケーション・評価・フィードバックが一連の流れとなるよう整備し、評価者が自信を持って評価でき、被評価者が自らの強みや成長課題を認識しやすい状態を目指しました。運用する評価者の方のスキル・マインドアップも必要なので、ちょうど評価者の皆さんに全4回のマネジメント研修を実施しているところです。

このあと、実際の評価運用が始まっていくので、その会議にも参加させていただき、目線合わせを含めた運用伴走までご一緒させていただきます。

「クライアントより当事者意識」一緒に作り上げる参画型の支援

──今回の取り組みで、特に重視した点はありますか?

石川:
人事制度には10社あれば10通りの在り方があるので、自分たちらしく使えるように昇華させていくところまでが大事だと思っています。経営層や部長レイヤーの方と密にコミュニケーションを取りながら、違和感があるところは率直に言っていただく形で、対話を重ねながら作っていきました。会社の一員のような気持ちで取り組んでいましたね。

飯田さん:
一緒に作り上げてもらった、という感覚が大きいですね。
一般的なコンサルだと仕組みを渡して終わりですが、社内に入り込んでやってくれるのがすごく良かったです。「給与テーブルを出したらまずいんじゃないか」と保守的な声もありましたが、メリット・デメリットを細かく説明しながら進めてくれました。

うちの規模だと、評価制度を構築できる人事責任者を採用するのは難しいので、石川さんみたいな方がいてくれてありがたかったです。人柄や熱意はもちろんですが、物事を進めるのも速くて、本当に能力が高い方だなと感じます。採用も石川さんに紹介していただいた方に任せていて、もう石川人事部になっています(笑)。

石川:
速ければ速いほど導入に向けて検討・対話できる時間が生まれるので、速さは価値だと思っています。

小松さん:
私は言葉足らずな部分があるのですが、石川さんは足りない説明でもすぐに状況をキャッチアップしてくださいますね。社内の雰囲気や状況、社員それぞれのことを把握されている感じがします。LOOPLACEらしさを汲み取ってくれて制度を作ってくれた、という実感があります。

──制度を作るうえで、大変だったことはありますか?

石川:
何を実現したいかをクリアに言語化することですね。制度は評価するためのものではなく、会社の願いを実現するためのものだと思っています。それさえできれば、あとは仕組みは方法論なので選択していくだけ。

制度づくりから導入まで、半年という短い期間ではありましたが、飯田さんのなかで「こういう会社を作りたい」というのが明確だったので、決め切ることができました。

制度は、中長期的に改善していくのが当たり前

──制度導入にあたり、いま感じている手応えを教えてください。

飯田さん:
みんなで議論して納得のいくものを作れたと感じています。導入してから最初の1、2回は失敗したとしても全然構わない。中長期的に石川さんにも付き合ってもらって、改善や研修をお願いしたいです。

石川:
今はマネジメント研修を実施している最中で、制度の理解とマネジメントの共通言語化、目標設定の仕方、1on1の対話(心理的安全性、傾聴、フィードバック、褒め方)、評価者としての心構えとフィードバックの実践など、段階を踏みながら進めています。
マネジメントの定石はあるけれど、LOOPLACEらしいケースをもとにして、現場を想起しながら定石を取り入れられるような研修をオリジナルで実施しています。

皆さんからは、「メンバーとの対話量を増やしている」「1on1をやるようになった」「評価をすることにドキドキもワクワクもしている」という声もいただいていますね。

──今後は、ツナグtobeとともにどんなことに取り組んでいきたいですか。

飯田さん:
うちに人事部門ができて人事責任者が就くまでは、ずっと見てもらいたいです。これまでは自分や部門長がやってきましたが、育成や制度の仕組みがバラバラで、目の前のことを必死にこなしているところがありました。事業でも人事でも、ちゃんと連動してシナジーを生むようにしていかないとうまく回らないと感じますね。

人事部門は会社成長の過程でものすごく大事ですが、すべてを採用だけで作るのは難しい。
石川さんのカルチャーで作ってくれた人事部門なら、すごくいい部門になるだろうと思っています。

──本日は貴重なお話をありがとうございました。